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『ヤマハピアノ竪型ホーム型』(1930年代後半製)を再生保存

ピアノづくり
その革新の歴史を次の世代へとつなぐ

『ヤマハピアノ竪型ホーム型』(1930年代後半製)を再生保存

ヤマハピアノサービス(YPS)が担うピアノ修復・再生作業のひとつに、歴史的資料価値のある稀少ピアノの修復保存があります。それは日本のピアノづくりを牽引してきたヤマハにとって貴重な資料であることはもちろん、楽器産業、ひいてはものづくりの歴史を検証する上で、大きな役割を担います。YPS掛川センターが担当した、『ヤマハピアノ竪型ホーム型』の修復作業を追いながら、そんな資料保存活動についてご紹介しましょう。

モノづくりを諦めなかった人たち

静岡県浜松市にあるヤマハ本社には『イノベーションロード』という企業ミュージアムがあります。「イノベーション」と名付けられたのは、ここがヤマハのDNAを感じていただけるとともに、ヤマハの現在と未来への挑戦を体感していただける場であることに由来しています。

ヤマハの企業ミュージアム「イノベーションロード」

ヤマハの企業ミュージアム「イノベーションロード」
見学は1日3回の入替制で事前予約が必要
予約方法など詳しくはこちら

「『イノベーションロード』に加え、ピアノ製造拠点の掛川工場には『ハーモニープラザ』という施設があります。これらはヤマハのモノづくりの歴史を広く一般の方に知っていただく私たちの広報活動のひとつであることはもちろんですが、同時に歴史を跡づける楽器を伝えていくことは、日本のものづくりを次の世代へとつないでいく上でも大きな意味があると考えています」

そう話すのはヤマハ株式会社コーポレート・コミュニケーション部 社内広報グループの木崎高宏。これまで稀少なピアノの修復、保存に数多く携わっており、それらは『イノベーションロード』『ハーモニープラザ』に展示されているほか、ヤマハのレガシーとして大切に保存・管理されています。

『イノベーションロード』のほぼ中央、奥から入り口付近へと続くように配されているのが<ヒストリーウォーク>と名付けられたエリアです。ここでは1887年の創業から間もない頃のオルガン、初期のピアノ、1967年に発表されヤマハピアノの名を世界に広めたコンサートグランドピアノ<CF>など、ヤマハの歴史を実際の製品を見ながら辿っていくことができます。ピアノだけでも相当なラインアップになりますが、木崎氏は「まだまだ私が知らないヤマハのピアノはたくさんある」といいます。

イノベーションロード内の<ヒストリーウォーク>。歴史を彩った過去の貴重な製品を見ながらヤマハの歩みを時代順に見ることができます

イノベーションロード内の<ヒストリーウォーク>。歴史を彩った過去の貴重な製品を見ながらヤマハの歩みを時代順に見ることができます

掛川工場「ハーモニープラザ」内にある稀少ピアノが並ぶ展示スペース

掛川工場「ハーモニープラザ」内にある稀少ピアノが並ぶ展示スペース

木崎氏の言葉の背景にあるのが第二次世界大戦による戦禍です。浜松は国内の都市の中でも数多くアメリカ軍の空襲を受けた都市のひとつ。1945年6月18日の大空襲では100機のB29が飛来、焼夷弾6万5,000発が投下され1万5,000戸の家屋が全焼するなど、甚大な被害を受けます。当時プロペラ製造を行っていたヤマハ(日本楽器製造)本社工場の被害も大きく、影響で製品、当時の設計図など多くの資料類を失ってしまったのです。※

そんな歴史の1ページを知った上であらためて<ヒストリーウォーク>を歩いてみると、展示されている品々(古いものはもちろん、最新鋭の製品も)が、そこに関わった人々の想いを「つないできた」ものとして見えてきます。医療器具の修理工であった創業者・山葉寅楠がアメリカ製オルガンを修理し、その構造を学んでつくったオルガンから現在に至るまで、一つひとつの製品は、いつの時もモノづくりを諦めなかった人たちが確かにここにいたことの証でもあるからです。

※参考資料:浜松市における戦災の状況(総務省)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/daijinkanbou/sensai/situation/state/tokai_03.html

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